義歯・入れ歯・デンチャー
義歯・入れ歯・デンチャー
入れ歯というと高齢者が使うものというイメージはありませんか?確かに歯を失うのは歳を取ってからが多いです。しかし、固定性のブリッジやインプラントよりも入れ歯の方が良い結果が得られることもあります。歯を入れる場所の決め方は顔の形や歯並びからはここに歯があるのが理想的というところから考えます。その時、骨がその理想的な歯並びのためには大きく欠損していることがあります。少量であれば骨を足す手術をすることで理想的な位置にインプラントを入れることもできますが、そうでない場合も多いです。そういう時は入れ歯の方が欠損した部分を回復させやすいです。そのほか、体の病気で手術が出来ない場合などもありますし、子供の体の発達中に固定性のものを入れてしまうと発育阻害を起こすことがあります。入れ歯というと悪いイメージが多いですし、第一選択にならないことも多いのですがとても重要なものなのです。
歯や歯列を人工的に補うことが目的です。また、見た目の回復や改善も行います。この補う治療をしなければ残っている歯が倒れてくるだけでなく、顎の関節や神経、筋肉にも問題を生じます。噛むための治療というだけでなく、続発する疾患の予防に繋がるのです。入れ歯の最終目標は見た目や噛む能力を回復するだけでなく、生活の質(QOL)の向上です。
入れ歯は目的や段階によっていくつかに分類されます。最終的に使っていく最終義歯、歯を抜いたときにすぐ噛めるようにする即時義歯、最終義歯の参考するために行う治療用義歯です。即時義歯を改造して治療用義歯として使うこともあります。
入れ歯と一言でいっても噛み合わせや、残ってる歯の位置や数、骨の状態や粘膜の状態、口の乾燥の程度や筋肉など様々なものが影響してきます。なのでまずは簡単な型取りをして入れ歯の設計を行います。どこにバネをかけるのか、どこに歯を入れるのか、入れ歯のスペースはあるのか、入れ歯の支えはどこにつけようか、歯の向きはバネをかけられるのかなど考えることが沢山あります。
設計をする時には様々な入れ歯の形があるのですが、大まかに難しいか簡単かなどの分類から始めます。代表的なところで言えば、Kennedyの分類やEichnerの分類などです。噛み合わせの安定度を分類していきます。その他にも当院では宮地の咬合三角やAngleの分類といった分析も行なっています。
特に部分入れ歯の設計は様々な場合が考えられます。部分入れ歯の設計では支持・維持・把持の三つをまず考えます。支持とは入れ歯が噛む力にどう対抗するかという物です。維持は入れ歯が外れないようにすることです。把持は横に加わる力のことで、回転や水平的な動きに対抗するものです。
歯の喪失と生命予後には関係があるという報告がいくつかあります。「老年歯学 第21巻 第4号 2007 咬合の維持・回復と生命予後 吉田 光由・赤川 安正」によると、咬合崩壊群は咬合安定 群よりも0.78倍生存率が低かったとされています。しかし、咬合崩壊群の中でも入れ歯使用群は入れ歯不使用群に比較して1.52倍生存率が高いことが報告されています。
また、認知症と歯の関わりも強く「日口インプラント誌 第30巻 第4号 歯科から考える認知症予防への貢献 山本 龍生」によると、歯がほとんどないのに義歯を使用していない人は、20 本以上歯が残っている人の1.9 倍、認知症発症のリスクが高いことがわかりました。さらに、歯がほとんどなくても入れ歯を入れることで、認知症の発症リスクを4割抑制できる可能性も示されました。
口の健康を維持することは体の健康を維持することにもつながります。