レントゲン(X線写真)
レントゲン(X線写真)
歯科では検査したい内容によって撮影方法を変えて撮影をします。代表的なものは①デンタルエックス線写真②パノラマエックス線写真③セファロ撮影④CBCT撮像があります。
①デンタルエックス線写真
3歯分ほどが写る部分的な二次元のレントゲン写真です。全体を写したものよりも解像度が高く、細かいところまで見ることができます。むし歯・歯周病・根の病気を見ることに適しています。
②パノラマエックス線写真
顎まで全体の入った二次元のレントゲン写真です。1枚で全体のざっくりしたものが見れますので、むし歯や歯周病のスクリーニング検査・全体のバランスの確認・顎関節の検査に適しています。
③セファロ撮像
頭全体の二次元のレントゲン写真です。正面と側方の撮影を行い、主に矯正時の骨格と歯の位置の診断に使われます。
④CBCT
大きさは調節して撮影することが出来ます。小さなものでは4歯ほどかた大きなものでは顎全体が撮れる三次元の写真です。二次元の写真ではわからなかった場合に撮影します。
被曝という言葉を聞いたことはありますか? 実はレントゲンの被爆だけではないのです。太陽光など宇宙からも宇宙線と呼ばれる陽子を中心とした高エネルギーの放射線が常に降り注いでいます。自然に生活するだけでも被爆をしているのです。世界平均では年間2.4ミリシーベルトという量の被爆をしています。飛行機に乗るとより宇宙に近づくため被曝量は増し、東京からニューヨークまでの移動で0.1ミリシーベルトほど被曝します。シーベルトとは人が吸収した線量に各放射線の補正値を加味してダメージ量を出したものになります。
自然からの被爆ではなく、人工放射線で最も大きな割合を占めるのは医療被爆です。リスクとべべフィットを考え、大きな利益があると考えられた場合に写真を撮ります。適切な治療を行うためには診断が最重要なのです。歯科におけるレントゲンではパノラマエックス線撮影やデンタルエックス線撮影、歯科用CBCTといったものがあります。パノラマは0.00385〜0.03ミリシーベルト、デンタルは0.001〜0.0083ミリシーベルト、CTは0.034〜0.131ミリシーベルトほど被爆するというデータがあります。
放射線の被爆が悪影響を及ぼすことは多くの人に知られています。具体的には4000ミリシーベルトを全身に被爆すると60日以内に約半数が死に至ります。エネルギーにすると0.06キロカロリーほどと少ないのですが、DNAを破壊するのです。DNAに大きな障害が生じ、細胞の修復が出来なくなると臓器に障害が起こり、死に至ります。大体どの程度被爆すれば白内障や脱毛などが起きるというのはわかっています。これを確定的影響といいます。その他、確率的影響が起きることもあります。多量に被爆するとがん化する確率があがります。そのことによって悪性腫瘍の発症率も増加します。遺伝的は影響に関してはこれまで人では確認されていません。
歯科用のレントゲンでの被曝は多くても1ミリシーベルト程度です。なので確定的影響はありませんが、確率的影響に関してはないとは言い切れません。どのくらい少ない量であっても確率的影響には作用します。そのリスクとしては悪性腫瘍の増加に関しては1000ミリシーベルト被曝した時5.5%、遺伝的影響は0.2%ほどの人が影響があると言われています。被曝量は少ないのが望ましいです。
小児や胎児の放射線の感受性は2~3倍あります。小児の場合はそれでも画像診断に大きな利益があれば撮影をします。妊婦の方に関しては妊娠の時期にも関係しますが、100ミリシーベルトが閾値と推定されています。なので歯科用のレントゲンに関しては確定的なお子さんへの影響はほぼ出ないと考えられます。しかし、確率的影響は可能性がありますので、お母さんのリスクが低ければ治療を先延ばしにすることも必要となりますので、しっかり治療時は話し合いたいと思います。
当院のエックス線撮影装置は被曝量を低下させるための工夫がいくつかされています。1つは断続的にエックス線を照射すること、部位によって照射量を変えること、フィルムをデジタルで撮影することで少ないエネルギーでも反応するようにすることなどです。なので安心して検査をお受けください。